I.S.H.と契約完了≪十月二十八日≫ ―燦―一日・・・5$の生活を守って、一ヶ月150$。 旅行記などをまとめていると、一ヶ月滞在しても、毎日暇をもてあますこと もないだろう。 午後5:30まで、夏目漱石の「行人」を読破した後、これしかない冬服(アフ ガンコート)を着込んで外に出る。 暗い公園には、街灯を避けるように、恋人達が肩を寄せ合い、押し黙 って座っているのが、薄ぼんやりと見えてくる。 男同士もいるようだ。 暗さに慣れてきたせいか、あっちにもこっちにも・・・・・・いるのがわか る。 ライトに照らし出された、オリンピック・スタジアムが、夜空に浮かんで見 え、昼間とは違う幻想的な姿を見せ付けている。 競技場から、坂道になっていて、目指す「I.S.H.」には、午後5:50到着し た。 少し時間が早かったので、しばらくウロウロして、6:00きっかりに 「I.S.H.」のドアのブザーを鳴らした。 ドアが開くと、中からガウンを羽織った、ほっそりとしたギリシャ美人が姿 を見せた。 そして・・・・ニッコリと笑った。 外から見える部屋の中は、玄関と言うより、すぐ居間といった趣で、細々と したものが所狭しと並べられているが、きちんと整理されているように見え た。 感じの良い部屋のようだ。 目の前にいる、ガウン姿の美人は、どうやらここの主人であるらし い。 俺「Hello!」 奥さん「・・・・・ハ~~~イ。」 俺「I want to stay here!」 話を切り出すが、なかなか俺の言葉が通じないのか・・・・。 いや、通じているのだが、肝心のところでつまづいてしまっているのか。 そうこうしているうちに、二人の泊り客が現れて、彼女がその二人と話をし ている時、奥から美人の彼氏、つまり旦那さん(ご主人)が顔を見せた。 それから、話はトントン拍子に進んだ。 ご主人「一ヶ月・・・・1500DM、敷金300DM、キーの預か り・・・60DM・・・OK!」 敷金とキーの預かり金の360DMは、ここを出るとき返してくれるという。 実質・・・・1500DM(≒12000円)。 つまり・・・一日50DM(≒400円)。 〆て・・・・1860DM(≒14880円)。 俺「OK!」 契約が成立した。 * キッチンを見せてもらう。 ご主人「ここで、日本の料理を作ってください。」 きめ細かく、中の設備を説明してもらいながら、一通り案内してくれた。 部屋もすべてきれいにしてあり、ジョセフ・ハウスより・・・今まで泊まっ たどのドミトリー・ホテルより、ずっと良い感触を得た。 俺「OK!」 ご主人に、気に入ったから、契約する意志がのあることを告げ、明日の夜か らお世話になることを約束して、「ISH」を後にする。 ご主人「See you again! tommoro!」 入り口が、自宅とは別になっていて、ドミトリー形式だが、アパートといっ た感じで、一ヶ月住むにはすばらしい環境だと感激した。 明日から、やっと落ち着ける・・・・・・かな。 <今日の家計簿> 宿泊代・・・・・・60DM サンドイッチ・・・20DM コーラ・・・・・・20DM 〆て・・・・・・・100DM(≒800円)也 ジャンル別一覧
人気のクチコミテーマ
|